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R18/チェシャ猫x三月兎
CCxMR
三月兎の住居は帽子屋のそれから少し離れている。
茶会の庭が帽子屋の屋敷の玄関前なので極めて頻繁に訪れているが、滅多に泊まらない。
昼間は茶会の為、三月兎の小さな住まいは住人が寝に帰ってくるだけなので寂しさがある。
「三月」
シャワーも浴びてベッドに入ろうとした三月兎は一瞬身体を固くして、溜息を吐いた。
「チェシャ、俺の家には勝手に入るなと何度言えば解る」
「そんな約束はしてないからなァ」
にたりと笑ってシャワーを借りると言う。
「勝手にしろ。俺の邪魔をするな」
「どれのコト?」
ぎゃはは、と笑ってチェシャは尾を揺らした。
やっと眠れそうに瞼が重くなってきて、ベッドがギシリと鳴いた。
眠ってしまいたくて無視するが、首に噛み付かれて舌打ちする。
「眠れそうだったんだが」
「発情兎が眼の前にある欲情を放棄する?」
「それならお前がケツ差し出せよ」
やっと降りた眠気は早々三月兎を離してくれないようだ。
強引なチェシャ猫の手を振り払えない。
「残念ながらオレの方が捕食者なんだよネ」
「育て親の俺でも喰えるお前は異常だ」
「オレでも喰える三月も十分狂ってると思うケド」
ざらついた舌がねっとり這って、三月兎は悪態を吐いた。
舌打ちと罵倒ばかりの相手を抱くのは征服欲に似ている、とチェシャ猫は思う。
枕に三月兎の顔を押し付けて、背後から高く掴んだ腰を打ち付け喉で笑った。
「なに言ってっか解ンねェよ」
快楽で狂わせる事もなく、食い散らかすように犯す。
返り討ちにされて立場が逆転しても、一緒だ。どちらかがガツガツ食らうだけ。
「めちゃくちゃ締まる。苦しィ?」
くぐもった悪態は唸り声でしかない。酸欠で気絶される前に息継ぎはさせてやる。
滅多に無い三月兎の荒い呼吸に興奮した。
「死ね、」
苦痛に喉を痛めた声も良い。
「オレは楽しいヨ。三月だって同じじゃン。他のヤツに吐き出せないのをオレに吐き出す」
「今じゃない」
「オレの番だもン。イきたかったら自分でどォにかしてネ」
兎耳を噛まれて喉を逸らす。
「さっさと終わらせろ、早漏猫」
「三月が遅漏なんじゃねェの?」
喉をごろごろと鳴らしてチェシャ猫は眼を細めて尾を揺らした。
何時眠ったのか思い出せない朝に、三月兎は舌打ちする。
ヤったままの身体に眉を寄せてチェシャ猫への毒を吐き、シャワーを浴びた。
この後、茶会に機嫌が良いチェシャ猫が現れて争いになるのだが、三月兎には帽子屋の珈琲しか頭に無かった。