TheRpse

ツウイン編/雰囲気モノ/R18

窓割

久しぶりに割った、床に散った窓硝子の破片が裸足に痛かった
きらりと光の加減で鏡の様になって、衝動的に殴り割った
手は勿論、血だらけだし、足の裏にも幾つか硝子の破片が刺さってしまっている

皆、俺よりも兄さんの方が相手に依存していると云うけれど、間違ってる
兄さんは、俺と兄さんを愛している
俺は、兄さんだけを愛している
兄さんが自傷するからと云って、自分を全く愛していない訳じゃない
ナルシストとはまた違う
普通の人よりも、自分の事を思っていないかもしれない
だけど、それでも俺よりは
俺は兄さんを許し続けなければならない
だから、兄さんが自傷しても、許す

――がちゃ
イン?
あ…
兄さんは俺によく、タイミング悪く現れると言うけれど、兄さんだって同じだ。
来ちゃ駄目
イン?  何したの?
危ないから…
入口へと歩いて行く途中で、また破片が刺さった。ああ、こんなに散らかさなければ良かった。
インっ  どうしたの、その手っ  鏡は無い…窓?  窓を割ったの?
ごめん、今から片付けるから…
それよりも、手当てしないとっ
兄さんは自分の血なんてお構いなしに流しまくるくせに、俺に血を流す事は許さない。
他人は兄さんが束縛されたがっていて、俺が束縛したがっていると云うけれど、それも違う。
部屋は駄目
お互いに束縛されたがっていて、束縛したいと思っているのは俺だけ、唯それだけ。
危ないから
じゃあ、僕の部屋来て  洗おう、ね?  欠片が入ってしまっていたら大変だし…
…解った
一緒に居て、イン  僕の世界が崩れるのを止めて
うん  愛してるよ、兄さん  愛してる
俺たちは愛し合っていないといけない。
じゃないと、どちらかが死んでしまうから。